「2010年度 第3回 中・上級者向け講習会」のご報告 

 去る、2010年10月24日(日)・25日(月)に

「2010年度 第3回 中・上級者向け講習会」を開催しましたのでご報告いたします。  

  今回も、(株)遊茶 藤井真紀子先生のご指導のもと審評三昧でした。 

  2日間で、な、なんと、70種のお茶を審評いたしました。  

 ・鳳凰単品種別審評 

 ・安渓鉄観音火入れ別審評 

 ・濃香鉄観音ランク別審評 

 ・清香鉄観音ランク別審評 

 ・武夷岩茶品種別審評    …などなど 

  すべて興味深い内容ですが、

 中でも「台湾紅茶の品種別・産地別審評」をご報告いたします。  

  以下が、「台湾紅茶の品種別・産地別審評」のラインアップです。 

  ・2010年 阿薩姆(アッサム)・40年茶樹  南投県魚池郷産

 ・2010年 阿薩姆(アッサム)・コンテスト優勝茶(冠軍獎) 南投県魚池郷産

 ・2010年 阿薩姆(アッサム)・ 南投県魚池郷産

 ・2010年 紅玉紅茶 南投県魚池郷産

 ・2010年 紅玉紅茶 宜蘭県産

 ・2010年 紅玉紅茶 南投県魚池郷産

 ・2010年 紅韻紅茶 桃園県産

 ・2010年 青心烏龍紅茶 嘉儀県阿里山郷産

 ・2010年 青心大有紅茶 桃園県産

 ・2010年 有機阿薩紅茶 花蓮産

 ・2010年 やぶきた紅茶 日本・菊川産

  ご存知でしたでしょうか、台湾で紅茶が生産されていたこと。

  台湾本島中央部に位置する台湾最大の淡水湖、日月潭にほど近い、南投県魚池郷  周辺が紅茶の主な産地となります。

  日月潭は湖内にうかぶラル島を境に東側が日輪、西側が三日月に似ていることからこの命名されており、紺碧の水面には山々がうつり、湖面には霧が立ち込め、美しい景色が刻々と変化を繰り返す、風光明媚なところです。 

  台湾で紅茶の生産が始まったのは、日本の統治時代の1936年の頃です。

  台湾の紅茶の発展に日本人の新井耕吉朗先生が貢献されました。

茶業改良所 表札.JPG
紅茶工場表札.JPG
改良所工場.JPG

  新井先生は、日月潭近くの南投県魚池郷がインドのアッサムと似ているため、

アッサム種の苗木を導入され、台湾紅茶産業の発展にご尽力されております。

改良所茶畑.JPG
魚池茶畑2.JPG

 左写真/改良所茶畑       右写真/魚池郷茶畑

   現在も、そのころの工場や、日本式宿舎は現存しており、行政院茶業改良所魚池分場として、紅茶の研究、品種改良等が行なわれております。現在では、様々な品種改良も進められ、新品種が誕生しています。

 また、2009年より阿里山エリアでも青心烏龍種で紅茶の生産が行われ、台湾の紅茶の勢いは増すばかりです。

阿里山茶畑2.JPG
阿里山茶畑.JPG

  前置きが長くなりました・・・・ で、審評の結果です。

  樹齢40年の阿薩姆(アッサム)と、わずか7年の阿薩姆(アッサム)の審評。年齢を感じさせていただきました。もちろん年を重ねた阿薩姆は、熟した女性のように奥深いものでした。

45 2010年 台茶8号40年茶樹 700台湾円/75g 南投県魚池郷.JPG
47 2010年 台茶8号若年400台湾円/75g 南投県魚池郷.JPG

 左写真/阿薩姆・樹齢40年  右写真/阿薩姆・樹齢7年

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40年アッサム茶樹.JPG

 樹齢40年の茶樹

 コンテスト受賞の阿薩姆は、乾燥茶葉の外観といい、滋味、香、水色といい素晴らしいものでした。心地よい余韻がいつまでも続きます。うっとりさせてくれる茶殻でした。

46 2010年 台茶8号冠軍茶7500台湾円/75g 南投県魚池郷.JPG

  2010年度 日月潭紅茶評鑑 冠軍獎 茶葉

そして、紅玉紅茶の産地違いの審評。

 紅玉紅茶は、先の改良所で1999年に誕生した新種で、品種名を台茶18号と申します。父方が台湾野生茶樹、母方がビルマ大葉種となっております。

48 2010年 台茶18号600台湾円/75g 南投県魚池郷.JPG
49 2010年 台茶18号500台湾円/75g 宜蘭県.JPG

 左写真/魚池産紅玉紅茶  右写真/宜蘭産紅玉紅茶

   南投県魚池郷産の紅玉紅茶が2種含まれておりますが、畑もレベルも違うものです。また、南投県魚池郷産と宜蘭産とまったく産地も違います。 どれも、紅玉紅茶の風味は醸し出しているのですが、やはり南投県魚池郷産のほうが、バランスの良い仕上がりでした。環境でしょうか? 紅玉紅茶2は、ランクがやや低いような…香、滋味ともに欠けるものがありました。 

つづいて、紅韻紅茶です。

51 2010年 台茶21号500台湾円/75g 桃園県.JPG

   これも紅玉紅茶と同じ改良所で2008年に誕生した新種で、品種名を台茶21号と申します。紅韻紅茶は父方が祁門、母方がインドKyangとなっており、香、滋味に祁門の表情を出してくれます。

  新しい品種なので、なかなか見かけることが少ないかと思いますが、機会がございましたら試飲なさってください。祁門紅茶の表情を感じ取っていただけるような気がします。 

 そして、青心烏龍紅茶、青心大有紅茶、やぶきた紅茶の審評です。青心烏龍紅茶、青心大有紅茶は台湾産で、やぶきた紅茶は日本産です。どちらも、試み始めて間もない紅茶です。

52 2010年 青心烏龍紅茶2000台湾円/斤 嘉儀県阿里山郷.JPG
53 2010年 青心大有紅茶500台湾円/斤 桃園県.JPG

  左写真/青心烏龍紅茶   右写真/青心大有紅茶

   まだ、まだ、改良の余地があると思われます。ですが、年々変化を見せてくれると思われますので、来年が楽しみです。

 昨今、アジアをはじめ紅茶ブームが起きております。これまで少量の生産をしていた、日本、韓国、台湾でも製茶が進められております。

 こういう時こそ、新しいお茶に出会え、考えることができると思います。 チャンスですね。

 次回、「2010年度 第4回 中・上級者向け講習会」は、

やはり、紅茶ブームにあやかって「祁門紅茶」の講演会も開催いたします。

  こちらは、関西を代表する紅茶愛好家のみなさまのお集まり、「関西発紅茶を楽しむ会」と共同開催いたします。

  藤井真紀子先生に講演をいただきます。充実した内容になると思います。

 乞うご期待 

 *2010年10月15日〜17日に台湾台中で国際名茶評比(品評会)ファイナルが開催されました。

 当会スタッフも見学参加させていただきました。

 中国大陸、台湾、韓国、日本の受賞茶が揃い、各国の審評の紹介、茶業学術交流、各国の茶道表演、式典と、とても、とても興味深い内容でした。

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  各国のお茶に対する眼差しが明るく、うれしさがこみあげてまいりました。

 なお、行政院茶業改良所魚池分場や茶畑、阿里山阿里山郷茶畑等も視察してまいりました。機会があればご報告させていただきますね。

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